マスクの着用で得られる効果ってどんなもの?正しい着け方は?2020.04.23
風邪やインフルエンザが流行りやすい冬には、マスクの着用が勧められます。病院に勤める医師や看護師はもちろん、満員電車でさまざまな人の咳やくしゃみをあびる可能性がある人や、人混みの中を歩かなくてはならない人はとくにマスクで感染予防が大切です。
では、マスクはどうやって風邪やインフルエンザを予防してくれるのでしょうか?また、マスクの正しい使い方とはどんなものなのでしょうか?
マスクを着ける目的は?
マスクは、その用途によって「医療用・産業用・家庭用」の3種類に分けられています。
一般的に薬局やスーパーなどで風邪や花粉・PM2.5への対策として売られていて、我々の生活に最も馴染み深いのは「家庭用マスク」です。防寒や保湿などの目的で使われることもあり、素材や形状・サイズが豊富で、フィルター性能と通気性のバランスが良く、大人や子供、男性や女性など、誰でも日常的に長時間快適に使える便利なマスクです。
マスクが最も効果を発揮するのは、咳やくしゃみの症状が出ている人がマスクをつける場合です。風邪やインフルエンザにかかっている人は、1回咳をすると約10万個、1回くしゃみをすると約200万個のウイルスを放出するとされていますので、これらの病気にかかっている人がマスクをつけると、ウイルスを含んだ飛沫を撒き散らさず、周囲を汚染しにくくなるのです。
これは、ウイルスそのものの粒子径は0.1~0.2μmとごく小さいものですが、咳やくしゃみによって撒き散らされるウイルスは周囲に水分やほこりがついて粒子径が約5μm以上と大きくなるからです。大きく重くなったウイルスの飛沫はすぐ短い距離に落下し、空間を漂って飛散することはないため、マスクをつけることで飛散する距離をさらに短くすることができます。
逆に、風邪やインフルエンザにかからないためにマスクをつける場合、その効果はあくまでも限定的とされています。顔とマスクの間にはどうしても隙間ができてしまいますので、周囲の人の咳やくしゃみによるウイルスを含んだ飛沫を100%防ぐのは難しいためです。また、咳やくしゃみを受けることがなくても、空気中にウイルスが多い状況だったり、衣類や肌に付着したウイルスが手から鼻や口に入ってしまうと感染してしまうこともあります。
ですから、マスクの予防効果は100%と信用しすぎるのではなく、ある程度飛沫を防ぐ効果がある、と考えるのが良いでしょう。もちろん、風邪やインフルエンザの患者の近くで看病をする人にとっては、マスクをすることで咳やくしゃみの飛沫を直接あびるのを防げますから、予防効果は十分にあると言えます。
マスクを選ぶときのポイントは?
マスクには多くの種類やサイズがあります。その中から自分に合ったものを選ぶには「用途・顔への密着性・つけ心地」の3つのポイントに注意する必要があります。とはいえ、マスクはその性質上、購入前に試すことはできませんから、用途によって素材や機能、形やサイズでいくつか絞り込み、実際に使ってみて顔への密着性やつけ心地が自分に合うものを選ぶのが良いでしょう。特に、以下のようなポイントをチェックします。
- 顔との間の隙間は少ないか(密着性)
- 耳かけで耳が痛くならないか
- 呼吸はしやすいか
- ゴワゴワしたり、不快感があったりしないか(つけ心地)
また、マスクのサイズは以下のように測ると、より自分の顔にぴったりフィットするマスクを選ぶことができます。
- 親指と人差指でL字型を作る
- L字型にした状態で、耳のつけ根の一番高いところに親指の先端を当てる
- 鼻のつけ根から1cm下のところに、人差し指の先端を当てる
- 親指から人差し指までの長さを測る
測った長さによって、それぞれ以下のようなサイズがおすすめです。
- 9~11cm:子供用サイズ
- 10.5~12.5cm:小さめサイズ
- 12~14.5cm:普通サイズ
- 14cm以上:大きめサイズ
よく、ワンサイズのマスクを大量に買い置きし、家族全員で使うという家庭がありますが、マスクが顔に合っていないと、大きく開いた隙間からウイルスや細菌、花粉が侵入してしまい、マスクの予防効果が十分に発揮されません。とくに、大人と子供では顔のサイズが全く違いますので、それぞれの顔に合ったサイズのマスクを選びましょう。
マスクの正しい使い方を学ぼう!
マスクの効果を十分に得るためには、マスクを正しくつけなくてはなりません。顔にフィットするサイズのマスクを選んだら、次に正しく装着しましょう。具体的には、以下のように装着します。
- マスクで鼻と口の両方を確実に覆う
- ゴム紐を耳にかける
- 鼻からあごまできちんとヒダを伸ばし、上部のワイヤーを鼻の形に折り曲げる
- フィットするよう、微調整を行う
一方、「鼻が出ている、鼻の部分に隙間がある」「あごがはみ出ている」などは、間違ったマスクの使い方です。このように使用すると、隙間からウイルスや細菌、花粉などが侵入しやすくなってしまいますので、気をつけましょう。
また、マスクをしているときに風邪やインフルエンザにかかっている患者さんの咳やくしゃみの飛沫をあびてしまった場合、マスクの表面に触らないよう、耳の近くのゴムを掴んで外し、すぐにゴミ箱に捨て、手を洗います。マスクの表面にはウイルスや細菌がたくさんついていますので、絶対に手で触らないよう気をつけましょう。
また、間違えて触ってしまった場合は、他の場所を触る前にすぐ手を洗いましょう。
おわりに:家庭用マスクにはさまざまな種類やサイズがある。自分に合うものを選ぼう
家庭用マスクは主に風邪やインフルエンザ、花粉やPM2.5などの予防に使われます。フィルター性能と通気性のバランスがとれていて、素材もサイズも用途もさまざまなものが販売されていますので、老若男女誰でも日常的に使いやすいマスクです。マスクは隙間なくぴったりとつけないと効果が発揮されにくいため、それぞれ自分の顔にフィットするサイズのマスクを選びましょう。鼻と口がしっかり隠れるよう、正しくつけることも大切です。
(medicommi 2020年1月11日)