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【産婦人科医コラム】子宮内膜症と不妊2020.05.07

子宮内膜症と不妊

29歳で結婚して1年が経ち、そろそろ赤ちゃんが欲しいので産婦人科を受診しました。今まで子宮がん検診は受けていましたが、ちゃんと診察を受けるのは初めてです。医師に子宮内膜症で両方の卵巣にチョコレート囊胞あり、月経痛がひどいのも妊娠しにくいのもこれが、原因の一つでは?と言われました。月経痛は確かにひどいほうで毎回鎮痛剤を服用しますが、何故妊娠しにくいのでしょうか。子宮内膜症の治療をしてから妊活した方がいいのでしょうか。

子宮内膜症はどんな病気?

子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が子宮の内側にある子宮内膜以外の場所に発生し、増殖する疾患です。月経時に子宮内膜は剥がれて腟から排出されますが、卵巣表面や子宮の後ろ側(ダグラス窩)、卵管周囲などにできた子宮内膜症は増殖しても行き場がないためその場で出血し、周囲の組織と癒着して痛みの原因となります。卵管の周りの癒着で卵管が詰まったり、排卵しにくくなったりして不妊の原因になります。
妊娠を希望しておらず、チョコレート囊胞が小さい場合は内服薬や注射剤、点鼻薬などの内分泌療法が中心になりますが、治療中は排卵がなくなり、妊娠は成立しません。そして、薬物療法を行なったことにより、その後の妊娠成立がしやすくなるという事はないとの報告も多くあります。

妊娠を希望するときの対応は

妊娠を希望していて、チョコレート囊胞が小さく、卵管がつまっていなければ、一般不妊治療を速やかに進めます。チョコレート嚢胞が4~5cm以上と大きく、自然妊娠が妨げられたり、妊娠中の破裂や感染の危険が考えられたりする時には手術療法を考慮することもあります。
しかし、手術療法により、卵巣の正常部分も小さくなるため、卵子の数は少なくなってしまいます。妊娠成立を目的にするとき、手術は出来るだけ避ける傾向にありますが、年齢や子宮内膜症の進行によりケースバイケースで方針を決めることになるでしょう。
積極的に一般不妊治療を行なっても、35歳を超えて妊娠しない場合、体外受精-胚移植法によって妊娠を目指すことを勧めます。

妊娠できても、長期管理が必要

子宮内膜症は月経がある限り進行していく可能性があります。40歳以上になり、6cm以上あるものは癌化する頻度が高くなるため、症状がなくても、妊娠希望がなくなっても長期にわたってきちんと通院し、付き合っていかなくてはなりません。
妊娠中、子宮内膜症は改善することが多いため、妊娠成立まで時間をかけないことは疾患の管理の上でも望ましい事です。妊娠できる選択肢は十分あるので放置せず、スピード感を持って治療にのぞみましょう。

伊藤知華子

医療法人成田育成会 セントソフィアクリニック

女性へのメッセージ

セントソフィアクリニックでは不妊治療を専門としておりますが、全てのライフステージにおける女性の健康のためのサポートをしております。医師、スタッフは全て女性です。レディースドックなどの各種健診もお気軽にご相談ください。

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