子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)(1)2020.08.25
子宮筋腫の新しい治療法~子宮動脈塞栓術(UAE)
子宮筋腫とは、子宮にできる良性の腫瘍で、30歳以上の女性の20~30%に発症すると言われています。放置していても問題ない場合もありますが、過多月経による貧血、月経困難症、筋腫による圧迫などの症状を引き起こすこともあります。治療の選択肢として、ホルモン療法や外科的治療の他に、子宮動脈塞栓術(UAE)という方法もあります。UAEは足の付け根の血管を針で刺してカテーテルを入れるという、従来の外科的手術に比べて身体の負担が少ない方法です。わが国では2014年に子宮筋腫に対する治療法として保険適応となりました。
どういう人がUAEの対象になるの?
UAEは症状をやわらげることを目的とした治療ですので、筋腫による症状がある患者さんが適応となります。ほとんどの子宮筋腫にUAEの選択が可能です。
ただし、UAE後の妊娠についての安全性は確認できていないことから、これから妊娠を希望される患者さんは適応となりません。
どこでUAEの治療ができるの?
通常、子宮筋腫の治療は婦人科で行われますが、UAEは主にインターベンショナルラジオロジー(IVR)を専門にしている放射線科医によって行われます。したがって、UAEは放射線科によるIVR治療が可能な施設で行われています。
ただし、UAE前には必ず婦人科を受診していただき、婦人科医の判断においてもUAEが適切な治療となること、他の病気がないことが確認されなければなりません。
UAEの具体的な方法は?
子宮動脈塞栓術(UAE)は画像ガイド下治療(IVR)という方法で行われます。これは切開を行わず血管に細い管(カテーテル)を入れて治療しますので、全身麻酔は不要で注射による局所麻酔で行われます。局所麻酔の後に足の付け根の血管を針で刺して、この針の穴からカテーテルを入れます。カテーテルを子宮動脈まで到達させ、ここから血管を詰める小さい粒状の塞栓物質を流します。傷はカテーテルを通したごく小さい穴だけです。体への負担も少ないです。
今回は子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)の利用について、概略をお話いたしました。
次回は具体的な方法と治療効果についてお伝えしたいと思います。
関西医科大学 放射線科学講座 准教授
関西医科大学附属病院 血管造影IVR科
病院教授 狩谷 秀治