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子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)(2)2020.09.01

前回は子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)の利用について、概略をお話いたしました。

今回は、UAEの具体的な方法と治療効果についてお伝えしたいと思います。

子宮動脈塞栓術(UAE)は、子宮筋腫を栄養する子宮動脈に小さい粒状の詰め物である塞栓物質を血流に乗せて流し、血液の流れを止めてしまう治療です。血液の流れを止められた子宮筋腫は、栄養が行かなくなり壊死(子宮筋腫の細胞が死んでしまうこと)します。塞栓物質を流すためには、カテーテルという細いチューブの先端を子宮動脈に入れなければなりません。これを行うために、まず足の付け根に局所麻酔の注射を行い、動脈に針を刺します。この針であけた穴から直径2㎜のカテーテルを血管内に入れます。子宮動脈までカテーテルを挿入した後、血流に乗せて塞栓物質を流します。血液は液体なので子宮筋腫を通過しますが、塞栓物質は子宮筋腫の毛細血管を通過できず、そこで引っ掛かりとどまります。塞栓物質は次々に流れてきますので、どんどんそこから積みあがってきます。

その結果、子宮筋腫を栄養する血管は塞栓物質で埋め尽くされ、血流が途絶えます。血流が途絶えると子宮筋腫は壊死してしまいます。

子宮は大丈夫?

子宮自体も子宮動脈で養われているわけですが、なぜ子宮筋腫が壊死するのに子宮は壊死しないのでしょうか。それは、先ほど述べました塞栓物質の粒の大きさにあります。この粒の大きさは500から700μmです。正常子宮を養っている動脈はこの粒より細くなっていて、塞栓物質はあまり入っていきません。

しかし、子宮筋腫を栄養する動脈は500から1000μmと太く、塞栓物質が入って行くことができるので、血流は止まります。

UAE後の副作用は?

UAE後には下腹部に痛みが生じることがあります。この痛みはUAE直後からその日の夜までがピークですので、鎮痛剤や鎮静剤が投与されます。その後、鈍い痛みは残りますが徐々に軽減してきます。また発熱もありますが、それほどつらくはなく、徐々に軽減されていきます。入院期間は2泊3日程度です。私どものUAE後の結果では、症状の改善率は平均86%で、子宮筋腫の体積は平均36%まで小さくなります。

2回にわたって放射線科で行える子宮筋腫の治療UAEについてご紹介いたしました。婦人科で子宮筋腫の治療法を相談する際にはUAEも選択肢の一つとなることを念頭に置いていただければと思います。

関西医科大学 放射線科学講座 准教授
関西医科大学附属病院 血管造影IVR科
病院教授 狩谷 秀治

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