レジリエンスの意味とは?自分で身につけることはできるの?2020.10.01
「レジリエンス」という言葉を聞いたことがありますか。レジリエンスは、使われる分野によりさまざまな意味を持つ言葉です。今回は、主に心理学の分野で使われるレジリエンスの意味・定義を、レジリエンスを構成する要素や鍛え方と合わせて解説します。
レジリエンスとは
レジリエンスは、もともとは物理学や生態学の分野で「復元力」「回復力」「弾力性」という意味で用いられていましたが、近年では他分野でも広く使われています。このため、レジリエンスという言葉が持つ意味は分野によって微妙に異なり、明確な定義を持ちません。
この記事では、主に心理学の分野において使われる場合に限定して、レジリエンスという言葉の意味・定義を解説します。心理学においてのレジリエンスの意味は、以下のように定義されます。
心理学におけるレジリエンスの意味・定義
「逆境から早く立ち直り、成長する能力」
「打たれ強さ」「しなやかな心」「折れない心」
つまり心理学の世界では、ストレスの多い社会生活・日常生活のなかでも心折れることなく、前向きにしなやかに立ち回る能力のことを「レジリエンス」と定義しています。
レジリエンスの構成要素とは
レジリエンスは、ひとつのスキル・感覚で成り立つ能力ではなく、以下6つの要素により構成されていると考えられています。
自己認識
強みや弱み、人生においての目標や重きを置く価値観など、自分自身を正しく認識する力
自制心
そのときの自分の感情・感覚を正しく理解したうえで、適切に制御できる力
精神的敏捷(びんしょう)性
物事を冷静に、さまざまな角度から見て本質を見極め、迅速かつ適切に対処する力
楽観性
ストレスを過度に脅威に感じることなく、未来はより良いものになると確信する力
自己効力感
自分の問題解決能力などを信じ、自分なら逆境に打ち勝てると信じる心・自信
つながり
いざというとき、自分の力を発揮するのを支えてくれると確信できる仲間がいる状態
自分を正しく理解し、信じられるだけの能力・自信を持つ人が心から頼れる仲間を得たとき、6つのレジリエンスの構成要素がすべて揃います。
レジリエンスを自分で鍛えることはできる?
現代社会においてレジリエンスは、ストレスのあるなかでも日々の生活を楽しく、有意義なものとして送るのに欠かせない能力となります。自己効力感や楽観性が関係する以上、レジリエンス力の発達度合いはその人の生まれ持った人柄・感覚にある程度左右されますが、自分自身の努力で高めることも可能です。日々の生活のなかで以下のポイントを意識し、コントロールする訓練をして、レジリエンス力向上をめざしましょう。
自分を肯定的に捉えるよう意識する
自分の持つ能力・人柄を肯定的に捉えて、自己肯定感を高めましょう。自己肯定感の高まりは自己効力感や楽観性を高め、自己認識も良い方向へと変わっていきます。
感情をコントロールしてみる
レジリエンスの構成要素のひとつは自制心です。嬉しいときも腹立たしいときも、目の前の物事や問題に一喜一憂せず、一歩引いた視点から柔軟に捉えるようクセづけ、自制心を高めましょう。
楽観性を養い、感情のコントロールを助ける
困難の規模によっては、楽観性を持たなければ乗り越えられないこともあります。「何とかなる」「将来笑えるときがくる」などの楽観的な思考を養えば、マイナスな方へ向かっていきそうな感情の暴走を止め、心のコントロールを助けてくれるでしょう。
人間関係の築き方を変えてみる
周囲の人との関係は、あなたの人生を豊かにも困難にもします。できるだけ自分に害を及ぼす人から離れ、自分が「好き」「頼れる」「ためになる」と思える人のそばにいるようにしてください。人間関係を整理したり、関係の築き方を変えていくと、レジリエンスを構成する「つながり」の要素が充実してきます。
将来の自分の可能性を信じるようにしてみる
現在の自分を認めて好きになる「自己肯定感」と合わせ、未来の自分の可能性を信じる前向きさである「自己効力感」も鍛えていきましょう。そうすることで、まだ見ぬ未来への漠然とした不安感が減り、目の前の問題を解決する能力や楽観性も高まってきます。
おわりに:心理学上のレジリエンスとは「強くしなやかに生きる心・能力」
レジリエンスは、使われる分野によりさまざまな意味を持つ言葉です。しかし心理学の分野に限って言えば、困難な状況にも屈せず強くしなやかに生きる心・能力という意味を持ちます。自己認識、自制心、精神的敏捷性、楽観性、自己効力感、つながりの6要素から構成されるレジリエンス力は、ストレスの多い現代社会を生きるうえでの必須スキルと言えます。本記事を参考に、意識してレジリエンス力を高めていきましょう。
(medicommi 2020年5月7日)