LiLuLa リルラ

LiLuLaアプリでもっと便利に

無料ダウンロード

先生の紹介

ご協力いただいている
先生の紹介

季節性うつ病は時期によって症状が違う?治療や予防はできるの?2021.07.29

秋から冬、冬から春、夏から秋など、決まった時期に気分の落ち込みや体調の変化が現れる場合、季節性のうつ病の可能性があります。この記事では、季節性うつ病の症状の特徴や考えられる原因、予防法や治療法について解説します。

季節性うつ病(SAD)の特徴は?

季節の変化に伴い、気分が落ち込んだり、ゆううつな気分や疲労を感じるなどの「うつ症状」が現れることを季節性情動障害(SAD: seasonal affective disorder)と言います。近年、季節ごとに繰り返すうつ症状がよく知られるようになったためか、わかりやすく「季節性うつ病」や「季節うつ」と呼んだり、「冬うつ」「夏うつ」「秋うつ」など、季節にあわせて呼び分けることもあります

 日本をはじめとする「北半球の緯度が高めの地域」では、10月から11月くらいの「秋から冬にうつりかわる時期」に増えてくるため、「ウインターブルー」と呼ばれることもあります。ただ、夏にうつ症状が現れる「夏型季節性情動障害」のように、冬以外にもみられることもあります。

季節性うつ病の原因

  • 日光にあたる時間が少なくなるとセロトニンの分泌量が減少し、イライラや落ち込みといった気分の変化が現れやすくなる
  • 日光にあたる時間が少なくなるとメラトニンの分泌量が減少し、「概日リズム(体内リズム)」が乱れて気分の変化が起こりやすくなる

夏型季節性うつ病の原因は、高温多湿な環境や室内外の気温差による自律神経の不調や日光の浴びすぎ、脱水、栄養不足による疲労などが関わっていると考えられています。

また、冬から春の移り変わりによる日照時間の増加や気温の変化、花粉の影響がうつ病を引き起こすこともあります。なお、5月病は社会的な環境の変化によるところが大きいため、季節性うつ病とはしない考え方もあります。

こんな症状が出たら季節性うつ病かも?

季節性うつ病は、いわゆる「一般的なうつ病」と同じような症状が現れますが、非定型うつ病に似た特徴的な症状も現れます。以下に、代表的な症状をご紹介します。

一般的なうつ病と同じ症状

  • 気分が落ち込む、やる気が出ない
  • 集中力が落ちる
  • イライラすることが増える、常にイライラするようになった
  • 疲れやすくなり、元気がなくなる
  • 食欲がなくなる
  • 体を動かしたり、物事に取り組むのがおっくうになる
  • 以前は楽しめていたことが楽しめなくなる
  • 以前はうまくできていたことがうまくできなくなる

季節性うつ病特有の症状

  • 食欲が増す、過食になる
  • 睡眠時間が異様に長くなった(過眠)
  • いくら寝ても眠気がとれず、昼間に強い眠気を感じる
  • 精製パンやチョコレートなどの甘い菓子類など、高糖質の食べものが無性に食べたくなる

夏型の季節性うつ病では食欲不振や不眠、気分の落ち込みなどの「一般的なうつ病」の症状が出やすいのに対し、冬型の季節性うつ病では気分の落ち込みや意欲の低下などに加え、過眠や過食の症状が出やすいと言われています。

冬型季節性うつ病の特徴

  • 10月から2月頃まで発症しやすく、10月から11月ぐらいから増え始める
  • 気分が落ち込む、自己否定することが多くなるなど「うつ状態」になることが多い
  • 集中力の低下や無気力から、日常の家事や仕事に支障が出ることがある
  • 甘いものや炭水化物が多い食品ばかり食べるようになる
  • 眠っている時間が増え、日中にひどい眠気を感じることが増えた
  • 過食や過眠になりやすく、体重が増加することが多い

夏型季節性うつ病の特徴

  • 強い日差しや暑さが原因になる
  • 日本の残暑や初秋の大きな気温差が環境要因になることもある
  • 冬型と同じく、気分が落ち込む「うつ状態」になることも多いが、躁(そう)状態になることも少なくない
  • 動揺しやすい
  • 日光があたる場所で活動すると症状が悪化することがある
  • 不眠や食欲低下が起こりやすく、体重が減少することが多い

これらの特徴はあくまでも「傾向」なので、夏であれ冬であれ、季節に関係なく同じような症状が出ることもあります。

なお、季節性うつ病が長引くと、以下のようなトラブルを引き起こして悪循環に陥ることも少なくありません

  • 疲労感やおっくうさから、周囲の人達との関係がうまくいかなくなる
  • やるべきこと、取り組むべきことがあるのにできないため、仕事や社会生活で信頼を失う
  • 食べる量が増え、運動をすることもできないので急激に太ってしまう
  • 上記のようなトラブルからストレスを感じ、さらにうつ症状が悪化する

時期に関係なく、気になる症状があれば早めに専門の医療機関を受診し、適切な対策をとりましょう。

季節性うつ病の治療方法は?

季節性うつ病の治療では、うつ病の諸症状を緩和するための薬物療法とともに、認知行動療法と栄養指導が行われます。また、日照時間や概日リズムが影響するものに関しては光療法が行われることもあります。

季節性うつ病の薬物療法

季節性うつ病の治療では、光療法や栄養指導、認知行動療法が優先されることが多く、これらの治療で症状が改善されなかったときに薬物治療に移行するのが一般的です。

治療ではSSRIなどの抗うつ薬がおもに使われますが、うつ状態と躁状態をくり返す双極性障害がみられる場合は、抗うつ薬の使用が制限されることもあります。

光療法とは

5000〜10000ルクスの人工的な光を作り出す機器を使って、毎朝30分~1時間強い光を浴びる治療方法です。紫外線が含まれていないため、正しく使えば目や皮膚へダメージを与えるリスクが低く、そのほかの副作用もほとんどないとされています。

光は「体に当てる」のでなく「目に取りこむ」必要がありますが、目が開いている状態であれば光は取りこまれるので直視する必要はありません

一般的には1週間程度で症状が緩和すると言われていますが、中断すると症状が再発することも多いため、通常は2週間以上継続します。

※機器の設置方法や使用方法、使用時間、使用期間は、必ず医師の指示に従いましょう。

季節性うつ病の栄養指導

食欲低下できちんと食事を摂れていない場合は、たんぱく質・ビタミン類・ミネラルを十分に摂取できる、バランスのとれた食事を摂るよう指導されます。医師によっては、セロトニンやメラトニンの材料になるトリプトファンを含む食品を勧めることもあるでしょう。

過食の症状がみられたり、糖質に偏った食事を摂っている場合は、食事制限の指導が行われます。また、適度な運動には抗うつ効果が期待できるため、体力的に問題がなければ運動の習慣化をすすめられます。

季節性うつ病は予防できる?

季節性うつ病の原因がすべて解明されたわけではなく、さまざまな要因がからみあって起こることもあるので、完全に防ぐことは難しいです。ただし、以下のような「日常生活の工夫」で発症リスクを下げることはできます。

栄養バランスのよい食事を摂る

近年は、5大栄養素に食物繊維を加えた「6大栄養素」をバランスよく摂ることが推奨されています。十分な量のたんぱく質やアミノ酸を摂取できるよう、肉や魚、大豆製品をバランスよく取り入れるとともに、食物繊維やビタミン、ミネラルの不足を防ぐために野菜や果物も食べるようにしてください。

甘いものがやめられない方は、糖質カット食品に置き換えて調節するのもおすすめです。ただし、炭水化物を完全に絶つような極端な制限はしないでください

運動の習慣化

上記でも触れたように、適度な運動には抗うつ効果が期待できます。できれば朝日を浴びながらの運動が望ましいですが、習慣づけることが大切なので、無理のない運動を、無理のないスケジュールで行いましょう。

また、日差しが強い時間や高温多湿な環境で運動することは、夏型の季節性うつ病を引き起こす原因になるので注意しましょう。

自宅や職場の「温度と光」の環境を整える

室内外の温度差が大きいと、自律神経が疲れます。室内の適温は「夏は28℃」「冬は20℃」が目安です。エアコンやサーキュレーター、換気などでうまく室温調整してください。

寝室は、カーテンを開けたら日光があたる部屋にします。朝起きたらすぐにカーテンを開け、朝日を浴びてください。就寝前にカーテンを少しだけ開けておき、朝日が入りこむようにしてもよいです。

職場も日差しが入る環境のほうがよいのですが、直射日光があたり続ける環境はあまりよくありません。カーテンやブラインドで調整したり、グリーンカーテンを使うなどして、光量を調整できるようにしましょう。

睡眠の質を高める環境を整える

うつ病の回復や予防には、質の高い睡眠をたっぷりとる必要があります。寝室・寝具の環境はもとより、食事やお風呂の習慣も見直しましょう

ストレス対策

ストレスが溜まると心や自律神経が疲れやすくなり、うつ病を発症しやすくなります。気温の変化や環境の変化への耐性も低くなるので、季節性うつ病の予防の点でも良くありません。ストレスはこまめに解消し、自分にあったストレス対策をいくつか用意しておきましょう。

おわりに:決まった季節に気分が落ち込むなら季節性うつ病かも。予防対策をきちんととり、症状に気づいた段階で早めに相談を

季節性うつ病は、日本では10月〜11月の「秋から冬」のうつりかわりの季節に起こりやすいですが、夏型季節性うつ病もあるため、どの季節も油断できません。また、うつ症状が季節によるものかどうかは自分で判断するのは難しいです。気分が落ち込む、イライラする、過食や食欲低下が起こるなどの「うつ症状」がみられたら、症状に気づいた段階で専門の医療機関に相談しましょう。

季節性うつ病の予防は、一般的なうつ病や睡眠障害の予防対策にもなります。季節に関わらず、日々の生活に取り入れましょう。

(medicommi 2020年10月3日)

ページトップへ