猫背になったのはスマホが原因?デメリットを知って改善しよう!2022.03.24
猫背が悪い姿勢であることは、たいていの人が知っていると思います。幼い頃に周囲の大人に注意されたり、学校や職場の健康診断で指摘されたりした経験がある人も多いでしょう。しかし、猫背が悪い姿勢である理由や、身体にどのような悪影響があるのかを知っている人はあまり多くはないかもしれません。
現代人の生活には欠かせないスマホやリモートワークが猫背の原因となっている可能性もあります。猫背の本当のデメリットや、その改善方法について知っておきましょう。
猫背にはどんなデメリットがある?
猫背は見た目が悪い、というのはすぐにわかる特徴です。「背骨が曲がるよ」などと、子供の頃に親や先生に注意された人も少なくないのではないでしょうか。しかし、猫背は単に見た目が悪いというだけでなく、健康面でも悪影響を及ぼすと考えられています。
太りやすくなる
- 代謝が悪くなる(腹筋や背筋などが、正しく使われなくなるため)
- 脂肪が燃焼しにくくなるため、太りやすくなる
見た目のイメージが悪い
- 猫背でいると、実年齢よりも上に見られることが多い(老けて見える)
- 猫背でいると、周囲に疲れている、だらしない、暗いなどのイメージを与えやすい
- 顎を突き出す姿勢が原因で皮膚がたるむため、太ったように見えやすい(二重顎にもなりやすいといわれている)
内臓に負担がかかる
- 背中が丸くなることで腹部が圧迫されるため、内臓に負担がかかる
- 内臓の不調や便秘が起こりやすく、老廃物が体内に溜まり肌荒れの原因になることもある
むくみ、たるみ
- 姿勢が悪くなると血液やリンパの流れが滞りやすく、むくみの原因となる
- 顔の筋肉(表情筋)は背中の筋肉が引っ張り上げるため、猫背で背中の筋肉が衰えると「顔のたるみ」につながる
- むくみやたるみが目立つという人は、姿勢を見直すと解消する場合がある(ただし、病気などが原因のむくみは解消しない)
肩こり
- 人間の頭は5〜6kgあるため、猫背で頭が前に出ると首や肩への負担が大きくなる
- 猫背で前かがみになると、肩が前に出る「巻き込み肩」になりやすく、肩こりにもなりやすい
腰痛
- 猫背になると上半身の重心が前方にずれるため、腰にも負担がかかりやすく、腰痛になりやすい
- 正しい姿勢でないと腹筋や背筋が正しく使われなくなるため、重いものを持とうとしたとき腰に偏った負担がかかりやすく、ぎっくり腰などの原因になることもある
頭痛
- 猫背になると首や頭の筋肉が緊張しやすくなる。首や頭の神経が緊張した筋肉に圧迫されると、慢性的な頭痛の原因となる
- 慢性的な頭痛はイライラやストレスの原因になり、耳鳴りなどの不調を引き起こすことがある
- ストレスが肥満を引き起こし、そのストレスでさらに症状が悪化するといった悪循環に陥ることがある
酸素不足
- 猫背になると、胸部が圧迫されて肺が膨らみにくくなり、呼吸も浅くなりやすい
- 猫背の状態では、うまく深呼吸できない
- 脳に供給される酸素が不足するので、集中力の低下などを引き起こすこともある
このように、猫背は見た目が悪いというだけではなく、代謝の低下、内臓の圧迫、老廃物の蓄積、関節への負担を引き起こし、肩こり、腰痛、頭痛、肌荒れ、肥満などの原因になることもあるのです。また、猫背でいると筋肉を正しく使えなくなるため、運動のパフォーマンスの低下や特定の部位の筋力低下などを引き起こすこともあります。
デスクワークやスマホによる猫背のリスクについて
現代人は、「長時間のデスクワーク」「長時間のスマホ使用」によって、猫背になりやすいといわれています。
たとえば、PCの操作が多くなるデスクワークでは、猫背で肩が内側に入った前かがみの姿勢を取りやすいです。この姿勢では、首や肩、腰などに偏った負担がかかることになるので、長時間、長期間続くと、肩こりや腰痛などを発症しやすくなります。
最近は、リモートワーク、テレワークの普及により猫背が原因の腰痛、首や肩のトラブルが増えているようです。
また、猫背の姿勢では、腹筋や背筋が正しく使われなくなるため筋肉も衰えやすくなります。猫背自体も背骨や骨盤の歪みを引き起こしますが、猫背が引き起こす筋肉の衰えは、この歪みをさらに悪化させる悪循環を生み出す可能性もあるので注意が必要です。
デスクワークが多い人は、意識して猫背対策に取り組みましょう。
スマホが猫背の原因になる?
長時間のスマートフォン(スマホ)使用は猫背の原因になります。これは、スマホ使用時は、画面を覗き込むように「首が前かがみになりやすい」からです。また、スマホを操作するときは「巻き込み肩」になりやすいことも、猫背の原因になります。
自分がどのくらいスマホを使っていると感じているか調べる意識調査では「3〜4時間程度」という結果が出ていますが、スクリーンタイム画面の情報をもとにした実態調査では「6〜7時間程度使用している」という結果が出ています。
つまり、自分が思っているよりも長時間スマホを使っている可能性があるということです。猫背は、以下の方法でチェックできますので、2つ以上当てはまる場合は猫背対策を始めましょう。
また、今は猫背でなくても、将来的に猫背になる可能性もあります。スマホをよく使う、PCを使うことが多い人は、今のうちに猫背対策を始めることをおすすめします。
<猫背チェックリスト>
- 首や頭が前に出ている
- 肩が前に出ている
- 背中が丸くなっている
- 背中が傾いている
- 下腹がぽっこりと出ている
- 骨盤が後ろに傾いている
- まっすぐ立ったとき、膝がやや前に出ている
- 背骨が自然なS字カーブを描いていない
- 耳、肩、股関節(大転子)、膝、かかとを線で結んだときに、まっすぐ一直線にならない
猫背を直す対策は?
猫背対策のために日常生活で気をつけるポイントは、以下の通りです。
正しい姿勢を理解し、意識する
- 正しい姿勢とは、壁に背をつけて真っ直ぐ立ったとき、後頭部、背中、お尻が同時に壁につき、壁と腰の間に手が入る程度の隙間がある状態のこと
- なかなかうまく行かないときは、膝立ちをしてみる(自然と背筋が伸びる)
- 正しい姿勢をとれているかこまめにチェックし、意識して身体に覚え込ませる
- 猫背はすぐには直らないので、「猫背になっていると気づいたらすぐに正しい姿勢に直す」ことを繰り返し、気長に覚え込ませていくことが大切
寝返りをうちやすい環境を作る
- 寝返りには、身体のアンバランスを整える作用がある
- 寝返りがうてないと、身体の同じ部分が圧迫されるため、痛みなどの原因になることがある
- 意識的に寝返りをうつことはできない。寝返りをうちやすい環境作りが必要
- 硬めのマットレスのほうが寝返りをうちやすいので、やわらかいマットレスを使っている場合は調整する
- 起きたときに痛みが出る場合は、枕やマットレスがあっていない可能性があるので再調整が必要
椅子と机の間の距離を調整する
- デスクワークの場合、肘の角度が90度で自然にキーボードに届き、顔からPCのディスプレイまでの距離が40cm以上離れるように調節する
- よくある机は高さ70cm。これは身長175cm以下の人にとっては高すぎることが多いため、自分の体型に合うサイズに調整する
スマホを使うときも正しい姿勢を意識する
- スマホを使うときは、後ろにもたれずに座る
- 正しい姿勢であることを確認したうえで、画面が目線の高さになるまでスマホを持ち上げる(顔と画面の距離は30cm程度)
- スマホを持ち上げることが難しい場合は、正しい姿勢のまま目線だけを下げて画面を見る
- 寝ながらスマホは負担がかかるのでおすすめしない
頬杖や足を組むのをやめる
- 頬杖をつく、足を組むことは猫背の原因となるので、気づいたらすぐにやめる
- 頬杖をつく、足を組むことは、身体に偏った負担がかかることにもなるので注意
猫背は整体院で対処できる?
整体院で猫背を根本的に直せるわけではありませんが、客観的に自分の姿勢をチェックしてもらえる機会にはなります。筋肉の緊張を緩めて可動域を改善することで猫背が直りやすくなる場合もあるので、セルフケアの補助として通うのであれば問題ないでしょう。
ただし、猫背などの姿勢の悪さは、日常生活や仕事中の習慣がおもな原因です。整体院に通っているから大丈夫と油断せず、日頃から自分自身で正しい姿勢を意識する習慣をつくりましょう。
また、すでに腰痛や首の痛み、ひどい肩こりなどの症状がある場合は、猫背以外の原因も考えられますので、まずは整形外科などの医療機関を受診してください。
猫背を改善するおすすめのエクササイズは?
猫背の改善には、エクササイズも役立ちます。以下で、猫背におすすめのエクササイズを4つ紹介します。
ただし、痛みや違和感があるときは、やり方が間違っている可能性があるのですぐに中止してください。痛みが続く場合は、整形外科などの医療機関を受診しましょう。
また、エクササイズは、スペースに余裕があり、足場がしっかりした平坦でバランスをとりやすい場所で行うことが大切です。
ウォールプッシュ・バックエクステンション
このエクササイズは、壁を使って行います。壁を利用することで、正しい姿勢を意識しながら必要な筋肉へアプローチできます。
1.壁の前に立ち、両足を腰幅に開く
2.両手をまっすぐ壁につけ、体が壁から30度傾いた状態にする
3.手と足を壁と床から離さず、膝と腰を曲げて胸を伸ばし、肩を後ろに屈曲させて5秒間キープする
4.1のポジションにゆっくりと戻す
この工程を1セットとし、1日3セットを目安に行います。ポイントは、「腰を反らすのではなく、胸を伸ばすことを意識する」ことです。また、呼吸を止めないように気をつけてください。
背中スッキリ肩甲骨エクササイズ
このエクササイズは、椅子に座って行います。座って行うことで、上半身の姿勢と筋肉に意識を集中しやすくなります。
1.耳・肩・腰を結ぶラインを一直線にして椅子に座る
2.腕を「前ならえ」の姿勢で前に伸ばし、腕の高さを維持しつつ、両ひじを曲げながら肩甲骨をできるだけ背骨の真ん中に寄せるように引いていく
3.引ききった状態で、10秒間キープする
この工程を1セットとし、1日3セット行います。腰が反りすぎないように注意し、呼吸を止めないように気をつけてください。また、腕の筋肉ではなく、肩甲骨の間の筋肉を意識することも大切です。
ペルビックエクササイズ
このエクササイズは、椅子に座って行います。ペルビックは「骨盤」のことですが、肩甲骨、腹筋、背筋、大胸筋、コアマッスルなどにもアプローチできます。
1.耳・肩・腰を結ぶラインを一直線にして椅子に座り、腕を前方に伸ばす
2.おへそを覗き込むようにし、口から息を吐きながら肩甲骨を外に広げ、お腹を凹ませて骨盤を後ろに倒す
3.目線を斜め上に上げながら頭を上げ、肩甲骨をしっかりと寄せながら両腕を後ろ下方へ伸ばして外側にねじり、骨盤を前に傾ける(鼻から息を吸いながら行う)
この工程を1セットとし、1日3セット行います。3の動作をとくに大きく行うように意識しましょう。首や背中が反りすぎになりやすいエクササイズです。反りすぎは痛みの原因になるので注意してください。
スフィンクス・ローテーション
このエクササイズは、床に寝た状態で行います。胸部のストレッチや背部のトレーニング、コアマッスルにアプローチできます。
1.うつ伏せに寝転がり、両ひじから両手までを床につき、上体だけを起こしてスフィンクスのような姿勢になる。
2.右ひじを右肩の下に置いたまま、左手を後頭部に置く。
3.右ひじでしっかりと体を支え、目線は左ひじを見ながら、胸椎から体をねじる。
4.ゆっくりと姿勢を1に戻し、1〜3を左右逆にして同様に行う。
この工程を1セットとし、左右セットで1日3セット以上行います。腰が反りやすいので注意が必要です。背中と胸部にアプローチすることを意識してください。また、体の軸がブレたり、腹部や骨盤が床から浮くと身体を傷める原因になります。
おわりに:自分が思った以上にスマホを使っている。毎日の猫背対策で姿勢を改善しよう
SNSや動画サービスなどの普及で、スマホは現代人に欠かせないツールになってきました。スマホは、狭い画面を覗き込むため猫背になりやすく、身体の不調の原因にもなります。自分で思っている以上にスマホを使っていることも多いので、早めに猫背対策を始めることをおすすめします。
また、最近はリモートワーク、テレワークの普及も進んでいます。スマホとともにPCの使用時間も増えてきたことで、猫背が原因のトラブルも増加傾向にあるようです。
猫背対策は、こまめな姿勢チェックと姿勢修正、毎日のエクササイズが大切です。無理のない範囲で取り組みながら、気長に習慣化していきましょう。
(medicommi 2020年2月8日)