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仕事中の熱中症に要注意!初期症状と予防・対策について2022.08.11

勤務先が屋外か屋内かを問わず、仕事中も熱中症になるリスクは常に潜んでいます。今回は、仕事中の熱中症リスクと適切な対処法について解説します。熱中症になりやすい職種や条件、初期症状などと一緒に理解していきましょう。

仕事中の熱中症が多いとされる職種とは?

厚生労働省が発表した「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、仕事中、熱中症によって亡くなった方は2012~2021年で計213名にのぼります。2021年は死亡者数が20名、死亡に至らないまでも熱中症により4日以上の休業を余儀なくされた業務上疾病者数は561名で、疾病者数・死亡者数ともに過去3年間を下回る数値でした。

ただ、このうち死亡災害については、「休ませて様子を見ていたところ容態が急変した」など、管理が適切になされておらず、被災者の救急搬送が遅れた事例も含まれています。

気温や湿度などの条件がそろえば熱中症のリスクは上がるので、屋外・屋内問わずどんな職業にもリスクはあるといえますが、高温多湿で汗が蒸発しにくい環境に長くいる職場や、節電や空調設備の故障や制限のため適切な体温調節ができなくなる環境下の職場では、とくに熱中症を起こしやすいです。

厚生労働省では、仕事中に熱中症を発症しやすい職業として以下を挙げています。

高温多湿環境になりやすく、勤務中の熱中症発症リスクの高い6職種

建設業、製造業、運送業、警備業、商業、清掃業、屠畜(とちく)業

いずれも屋外、あるいは空調設備のない屋内での作業が多い職種です。これらの職業に就く方や運営する企業は、仕事中の熱中症リスクに一層の注意を払いましょう。

熱中症が起きやすい日や場所の特徴は?

熱中症になりやすい環境の条件としては、以下が挙げられます。

  • 梅雨から初夏にかけての暑くなり始め、まだ体が暑さになれていないとき
  • 急に暑くなった日、熱帯夜の翌日
  • 気温と湿度が高く、風が弱く、体にまとわりつくような暑さを感じるとき
  • 晴天で日差しが強く、地面からの照り返しが強いとき
  • エアコンの室外機など、熱を発するものが近くにある場所 など

上記の条件がそろった環境にいるときは、こまめな水分補給が大切です。スポーツドリンクや塩タブレット、経口補水液など、電解質の補給の備えもしておきましょう。また、マスクをしなければいけない状況であっても、定期的に人がいない涼しい場所に移動するなどして、マスクを外して水分補給する習慣をつけてください。

デスクワークでも熱中症になることがある?

建設業や製造業など、屋外作業や肉体労働を伴う職業は、熱中症になりやすい傾向にありますが、屋内の仕事やデスクワークの方も熱中症には注意が必要です。むしろ、汗をかきにくい、汗をかいたことや喉の渇きを自覚しにくいデスクワークは、水分補給がおろそかになりやすいといわれています。

以下の環境では、室内であっても熱中症リスクが高くなります。室温管理や水分補給対策の徹底を心がけましょう。

  • 風通しが悪く、換気が不十分な環境下に長時間滞在し続けることが多い
  • 省エネや節電対策のためにエアコンの温度が高めに設定され、適切な温度管理ができない
  • 窓や出入り口などから、自席に直射日光が降り注いでいる
  • デスクが密集していて、パソコンの熱が自分の周囲にこもっている
  • 制服の規定などの都合で、仕事中に上着を脱ぎ着して体温調節ができない
  • 水分補給を忘れやすい、水分を摂りにくい環境にある

熱中症のサインや初期症状、症状の経過は?

熱中症の症状は、一般的に以下の段階で現れます。

1.立ち眩み、めまい、顔のほてりを感じる

2.一時的に意識が遠のく、腹痛が現れる

3.手足がつる、顔や体の筋肉がピクピクと痙攣する、硬くなる

4.体がだるい、力が入らない、頭が痛い、吐き気や嘔吐がある

5.いくら拭いても汗が止まらない、または暑いのにまったく汗が出てこない

6.皮膚に触れると体温が異常に高く、赤く乾いている

7.ふらふらしてまっすぐ歩けない、会話が成立しない

8.呼びかけに反応できない、体がガクガクとひきつけを起こしている

9.自分で水分補給ができない

7.以降はとくに重篤な熱中症の症状であり、放っておくと命に危険が及ぶ可能性があるので、すぐに救急車を呼びましょう。

熱中症かもと思ったときの対処法は?

熱中症の重症化を防ぐには、軽度・中度の段階(上記で紹介した1.~6.までの症状)で適切な対処をすることが求められます。熱中症が疑われる症状が見られるときは、できるだけ早く以下の対応をとってください。

涼しい場所へ移動し、体を休ませる

日陰やエアコンの効いた涼しい場所に移動し、楽な姿勢をとって安静にしましょう。なお、自力で移動できないようなら、中等度以上の熱中症の可能性があります。本人が「大丈夫」「大げさにしなくて良い」と言っていたとしても、早めに119番に電話して医療従事者にアドバイスを求め、必要に応じて救急車を要請しましょう。

衣服を緩めて体の熱を逃がし、体を冷やす

涼しい場所で楽な姿勢になったら、首元やウエストの衣服を緩めて体と服の間に入った熱を逃がしましょう。首の両側・脇の下・足の付け根など、太い動脈が通っている場所に氷嚢(ひょうのう)などを置いて体を冷やしてください。濡らしたタオルなどを使ってもかまいません。氷やタオルがすぐ用意できないときは、体を濡らしてうちわや厚紙であおいで風を起こし、気化熱で体を冷やしてあげましょう。

水分と塩分、栄養を補給させる

本人に意識があり、自力で水分補給ができるようなら、水分・塩分・糖分・ミネラルを含む経口補水液やスポーツドリンクを飲ませてください。ただし、意識がなかったり自力で水分補給ができなかったりするときは、無理に口から水分を補給させようとすると窒息の原因となります。自力で水分が摂れないのは重篤な状態ですので、救急車を呼び医療従事者の指示に従い対応しましょう。

おわりに:熱中症の症状が出たら、仕事中であっても早めに休んで適切な対処をとろう!

直射日光の下での屋外作業を伴う職業、また高温多湿となる室内で作業する職業の方は、仕事中に熱中症になりやすいといわれています。具体的には建設業、製造業、清掃業、警備業、運送業、屠畜(とちく)業などが該当しますが、デスクワークに従事する方も例外ではありません。どんな職業でも熱中症を起こすリスクは存在しているので、熱中症の兆候を感じたら重篤化しないよう早めに休息をとり、体を冷やすなど適切な対応をとりましょう。

(medicommi 2022年6月21日)

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