肘部管症候群の症状・原因と治療について2025.10.16

肘部管(ちゅうぶかん)症候群になると、手の小指・薬指にしびれなどの症状が現れます。聞き慣れない名前かもしれませんが、どのような人にも起こる可能性があり、日常生活のありふれた動作が原因になる可能性もあります。この記事では、肘部管症候群の症状・原因の特徴と治療方法について解説していきます。
肘部管症候群の特徴
肘部管症候群とは、尺骨(しゃっこつ)神経が肘部管で圧迫されて小指・薬指にしびれが生じる末梢神経障害のひとつです。
症状の特徴
尺骨神経とは、上腕内側から前腕内側を走行する神経であり、手の小指・薬指の小指側1/2の甲側・前腕の尺側(小指側)の感覚と、手首・手・指の屈曲などに関わる筋肉を支配しています。肘部管症候群では、この神経に障害が生じることで以下の症状が現れます。
- (初期の頃)小指と薬指の小指側半分に痺れを感じるようになる
- (進行すると)尺骨神経支配の領域の筋力が低下し、手を握る・手を開く・箸を使う・ボタンの止め外しなどの動作がしにくくなる
- 進行すると、手の筋肉が痩せるようになる
- 肘を曲げると、しびれなどの症状が強くなる
- 握力が低下する
おもな原因
肘部管症候群は、以下の原因により尺骨神経に圧迫・牽引などの慢性的な刺激が加わることで発症するといわれています。
- 靭帯・ガングリオン・腫瘤
- 加齢による骨の変形
- 過去の骨折・脱臼などの影響
- 力仕事や野球・柔道などのスポーツによる負担
- 読書やパソコン・スマートフォン操作のときの負担
- 交通事故などによる外傷
- 関節リウマチ
肘部管症候群の治療方法
肘部管症候群の治療は、発症の原因により変わってきます。ガングリオンなど、物理的に尺骨神経を圧迫する病変がある場合や、靭帯などが尺骨神経を圧迫している状態である場合は、これらの原因を取り除くための手術が検討され、骨折後の変形などが原因の場合は、これらを修復するための手術が検討されます。手術後は、衰えた筋力を回復させるために、さまざまなリハビリを行います。
このような病変・変形などがみられない場合は、通常、鎮痛薬の処方などで症状の緩和を目指し、肘関節の安静やビタミン剤の投与などで回復を目指す保存治療が行わることが一般的です。保存的治療で回復がみられない場合や神経麻痺などがあり重症と判断された場合は、手術が検討される可能性があります。
おわりに:一般的な動作が原因になる場合もある。早めの治療・対策が大切
肘部管症候群は、性別・年齢に関係なく発症する可能性があります。なお、「肘を曲げた姿勢を長時間続ける」「肘がテーブルなどに当たった状態で読書やパソコン・スマートフォン操作をする」「肘を曲げ、床に当たった状態で寝ている」などは、肘に刺激を与え続けることになるため、肘部管症候群のリスクを高める可能性があります。早めの治療・対策が大切になってくるので、気になる症状がある場合は医療機関を受診するようにしましょう。
(medicommi 2025/09/22)