更年期に動悸が起こる理由と受診の必要性について2025.11.20
更年期のおもな症状のひとつに動悸があります。動悸とは、走ったり階段を登ったりなどしていないのに、息が切れたりドキドキしたりといった変化が現れる状態です。ただ、動悸にはさまざまな原因があります。この記事では、更年期になると動悸が起こりやすくなる理由と、動悸が起こったときに医療機関の受診が推奨される理由について解説していきます。
更年期に動悸が起こりやすくなる理由
更年期にさしかかると、以下のような症状が見られやすくなります。
- 激しい運動をしていないのに胸がドキドキする
- 夜の就寝前に胸がドキドキする
- ちょっと歩くだけで息が切れる
これらの症状は、女性ホルモン・自律神経の影響で発生すると考えられています。
女性ホルモンは卵巣で分泌され、脳の視床下部が分泌をコントロールしています。更年期に入ると、卵巣の機能が衰えて女性ホルモンの分泌機能が低下または停止しますが、脳の視床下部は「女性ホルモンがうまく分泌されていない。もっと分泌しなければ」と分泌量を増やそうとします。すると、女性ホルモンを分泌できない卵巣と、女性ホルモンを分泌したい視床下部とで混乱が生じることで、自律神経のバランスが乱れます。自律神経は拍動・呼吸のコントロールに関係し、動悸・息切れなどの発症にも関わっています。
動悸と深呼吸
自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立ちます。副交感神経は、体がリラックスしていたり、休息したりしているときに優位になる神経です。以下のように深呼吸をすると、副交感神経が優位になり緊張が和らいでリラックスへと促されます。
- 体の力を抜き、リラックスする
- 鼻から大きくゆっくり息を吸い、お腹に空気を入れるイメージで膨らませる
- 吸ったときよりゆっくりと息を吐き出し、お腹をへこませる。これを5回~10回程度くり返す
更年期による動悸や息切れは、深呼吸を行うことで緩和する場合があるため、試してみてください。
動悸があるときに受診が推奨される理由
動悸・息切れは、心臓・肺などの呼吸器・循環器系の疾患によって起こっている可能性があります。症状に気づいたときはまず医療機関を受診し、これらの疾患の有無を確認することをおすすめします。なお、動悸・息切れがあるときは、心電図・心臓超音波検査・胸部X線検査などの検査が行われる可能性があります。
更年期による症状と認められると、ホルモン充填療法や漢方(桂枝茯苓丸、加味逍遙散、当帰芍薬散など)の処方などによる治療が検討されます。婦人科外来や更年期専門外来など専門クリニックもありますので、無理なく通院できる病院を選ぶと相談しやすいでしょう。
なお、女性ホルモンの異常は神経面へ影響を与えることがあり、漢方・カウンセリングなどで緩和を試みたり、精神安定剤・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などが処方されることもあります。
おわりに:安静時の動悸や息切れに気づいたときは医療機関を受診しよう
走ったり、階段を登ったりしていない安静時に起こる動悸や息切れ」は、更年期だけでなく、何らかの疾患が原因で起こっている可能性があります。適切な治療を受けるためには原因を特定する必要があるため、まずは医療機関を受診しましょう。なお、更年期により重い不調が現れると、日常生活に支障をきたすこともあります。早期受診を心がけましょう。
(medicommi 2025/10/23)

