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【産婦人科医コラム】将来のすこやかな妊娠・出産に備えるために大切なこと ②2022.05.12

プレコンセプションケア

 前回は、「プレコンセプションケア」について知っていただきたいことをお伝えしました。今回は、プレコンセプションケアにおける「適正な体重維持や生活習慣、栄養管理の必要性」についてお話したいと思います。

プレコンセプションケアにおける適正な体重維持や生活習慣、栄養管理について考えてみましょう

 妊娠しているお母さんの健康状態は子宮内の環境にも影響し、生活習慣や栄養管理が良くないと、お腹の中の胎児の発育や生まれた赤ちゃんの将来的な生活習慣病のリスクなど、様々な影響を及ぼすことがわかっています。将来妊娠を希望する女性は、妊娠前からの適正な体重の維持と良い生活習慣、栄養管理が重要です。

< 適正な体重管理が必要な理由 >

 例えば、妊娠前のやせは早産や赤ちゃんが小さく生まれる低出生体重児(生まれてきたときの赤ちゃんの体重が2500g以下)を増加させます。低出生体重児ではその子が将来の糖尿病や高血圧、心血管病になる危険が高くなることがわかっています。

 また、肥満に関しては、そもそも肥満は不妊症の原因となり、妊娠がしづらい状態です。さらに、肥満の状態で妊娠すると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの妊娠中の合併症が増加します。そしてお母さんが肥満の場合、生まれてくる赤ちゃんは将来的な肥満や高血圧、糖尿病や高脂血症などの発症が多いことがわかっています。この様にお母さんの体重が生まれてくる赤ちゃんの体重に影響し、そして将来の病気のリスクにつながるということです。

< 生活習慣を見直すことが必要な理由 >

 生活習慣で連想されるのは、喫煙とアルコールがあると思います。妊娠中の喫煙は流産、早産、赤ちゃんの発育に影響を与え、生まれた後には児の乳幼児突然死症候群の危険を上昇させます。日本では喫煙する女性はだいぶ少なくなってきていますが、妊娠前からの禁煙が望ましいと考えられています。

 また、妊娠中のアルコールについては赤ちゃんの奇形や、生まれた後の注意欠陥・多動性障害、学習障害といった異常をもたらすので、全妊娠期間を通してアルコールの摂取はやめた方がいいでしょう。タバコやアルコールは、起こりうるいろいろなリスクを考えて、妊娠前から控えておけば安心かもしれません。

< 必要な栄養管理 >

 毎日の食事についてはどうでしょうか。妊娠する前に栄養素として摂取が推奨されているものがいくつかあります。日本人女性で不足がちである栄養素の一つにビタミンDがあります。ビタミンDは骨に関する栄養素で、妊娠時にはお母さん、赤ちゃんに欠かせない栄養素です。ビタミンDが不足すると流産、早産、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などと関連があることがわかっています。ビタミンDは食事から摂取できますが、多くは日光に当たることで皮膚から産生されます。日焼け止めの使用や屋外での活動が不足すると、ビタミンD不足になることがあるので、サプリメントなどでの補充が必要となります。

 また、妊娠前から葉酸を十分摂取することが、お腹の赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症のリスクを減らすことが明らかになっています。日本人女性の葉酸摂取量は十分ではないことがわかっていますので、積極的に摂取することが必要です。

おわりに:将来に向けて自分の健康に関心を持ちましょう

 健康的な体を維持することが、妊娠、出産、そして生まれてくる子供の将来の病気を予防することができるということで、プレコンセプションケアの重要性についてご理解頂けたでしょうか。そのほかにも、感染予防のワクチン摂取やがん検診を受けること、女性であれば月経を管理することなど、まだまだ沢山あります。皆さんも自分の健康に関心を持ち、将来に向けて考えていきましょう。

熊澤由紀代

熊澤由紀代

秋田大学医学部附属病院

女性へのメッセージ

私の専門は、産婦人科学分野の中でも周産期、生殖・内分泌です。月経異常や月経のトラブル、不妊症、子宮筋腫や子宮内膜症で悩んでいる方、妊婦さんの疑問や不安など、このアプリを通してお答えし、皆様の不安を解消できるお手伝いができたらと思います。

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