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【産婦人科医コラム】お肌と女性ホルモンの密接な関係を教えます2022.09.01

男性と女性のお肌は決定的に大きな差がありますね。

もちろん私たち女性の方が圧倒的にきめが細かくやわらかな肌をしています。まだ私たちが赤ちゃんだったころ、並んで寝ている男の子のお肌とは何も違いがなかったのにその差が出るのはなぜでしょう。それは“女性ホルモン”の中のエストロゲン(卵胞ホルモン)がよりお肌の水分を保ち、柔らかく、女性らしい肌を保つのに大きな役割を果たしているからです。

お肌に影響を与える“エストロゲン”、“プロゲステロン”を知り、整えていくことがコツです

では、単にエストロゲンだけがお肌に影響を与えているのでしょうか?お肌のきれいな人は単にエストロゲンが高いという理由だけなのでしょうか?(ちなみに美肌マダムは、本当に女性ホルモンが高いΣ(・□・;))

まず、エストロゲンの影響が非常に大きくお肌に関係しているのがよくわかるのが、妊娠による肌の変化でしょう。妊娠出産により、エストロゲンは相対的に抑制されるため、シミが増え濃くなる、体毛が濃くなる、頭髪が減少する(薄毛)のは、出産経験のあるママさんならだれでも経験済み。年齢を重ねて閉経を迎えてしまえば、ほとんどエストロゲンが分泌されないため、体中が乾ききってしまうイメージです。エストロゲンってお肌にはほんとに大事ですよね。

次になぜ、生理前のお肌のトラブルは起こるのでしょうか?お肌に影響を及ぼす女性ホルモンはエストロゲンだけでなく、プロゲステロン(黄体ホルモン)も忘れてはいけません。そして何より、そのプロゲステロンがお肌で、アンドロゲンという男性ホルモン様作用を起こすホルモンに転換され、皮脂腺の分泌を促進するために脂っぽい肌になり、毛穴が詰まったり、感染を起こしたりと、ニキビの原因となっています。

また、生理がはじまったころはエストロゲンが下がるため、水分保持力が下がってしまいお肌は乾燥するようになります。プロゲステロンはなんだか悪者ホルモンのようですね。でも、ちゃんと排卵しなければ分泌されないホルモン、つまり、卵巣が元気なことも示しています。私たち女性はこうしたホルモンの波を持っています。ちゃんと妊娠できる体ですよ、と教えてくれています。

では、ホルモンバランスを崩しているのでなければなんで私はニキビが消えないの?と、思うかもしれませんね。それは、お肌でのプロゲステロン→アンドロゲンの作用の強弱が関係しているからです。お肌がホルモンに敏感ということです。

卵巣が元気な証拠だから、将来のかわいい赤ちゃんのためだからと、私たち女性は毎月エストロゲンとプロゲステロンに振り回され、きれいなお肌を保つことをあきらめなければならないのでしょうか?これに対して、私は強く“NO”といいます。

まず、妊娠を今すぐ希望していないのに排卵をする必要があるのかという点です。生理は毎月“体の中の余計な血を流している”のではなく、毎月“体が出血を起こし苦しんでいる”と、私は表現しています。だって、生理前の肌荒れだって、イライラだって、生理痛だって苦しいでしょ?

“でもおばあちゃん、曾(ひい)おばあちゃんは元気だし、長生きだし、みんな経験してきことでしょ?”、これも勘違いです。昔の人は多産で生理開始も遅かったので一生のうちに経験する生理の回数は、現在の1/8~1/10程度でした。

だから、血を流すのも、肌荒れするのも1/10。生理による変化は、はっきり自覚する肌荒れや痛み以外に血管や骨や内臓をしっかりと痛めつけます。毎月大けがをしているのと一緒なのです。10代、20代の生理前の肌荒れ、30代から感じるしわやシミ、たるみにも女性ホルモンの波は大きく関係してくるのです。もっと言えば、健康寿命にも大きくかかわっています。

産婦人科医としてみた場合の快適な日々のホルモン調整では、いつまでも保ち続けられる美肌ホルモンであるエストロゲン、必要のない時はなるべく出さないプロゲステロンは若い時の美肌にも、年齢を重ねた時の美肌にも、全身の健康にもつながっています。

ホルモンの調整をすることは不自然ではなく、現代の私たちの生活が不自然なので、ホルモン治療を併用した体の中からお肌のお手入れをすることは理にかなっているのです。

おわりに: お肌の悩みも産婦人科で相談してみましょう

“私はちゃんと健康だから生理前のつらさも、肌荒れも、生理痛も何とか乗り切ろう!”と考えるのでなく、皮膚のキレイも、ホルモンの元気も、ハッピーな気分も全部手に入れていただきたいと思っています。

私が医師になった20年以上前は、産婦人科医にお肌の相談をするのは妊娠の時くらい。皮膚科では相談できなかったからです。

現在はホルモン治療も様々な選択ができる時代になってきました。私のようにお肌もホルモン調整も得意な産婦人科医もたくさんいます。恥ずかしがらずに、ぜひ、産婦人科の門をたたいてください。

金森 千春

金森 千春

医療法人晋晃会 ちはるクリニック 理事長

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