【産婦人科医コラム】乳がん検診は大切です2023.04.06
産婦人科開業してしばらく閑古鳥がなき、患者様がほとんど来院されないのに、胸のしこり、乳腺炎など、乳腺に関する相談を占める割合が多く、初めて産婦人科医が乳腺疾患の窓口になっていることに気づいて10年が経とうとしています。
それからなんとか頑張ってマンモグラフィ、乳房超音波の読影資格を取得し、乳腺外科の先生の御指導を頂き乳がん検診、スクリーニングを行っております。
乳がんについて知っておきましょう
乳がんに罹患する確率は今や9人に1人(数年前は12人に1人だったのに・・・)を占め、年間の罹患数、死亡数は増加しているといわれております。私のクリニックで行っている日々の検診では、ほとんど毎日のように画像上で要精密検査となる方がいらっしゃいます。
乳がんは早期発見(病期で0期、Ⅰ期)、0期ではほぼ100%、Ⅰ期では90%近くは完治を見込めます。
しかし、早期の乳がんは殆ど自覚症状がなく自ら気づくのが難しいため、当院では乳がんの早期発見のために来院された患者様に、月1回の自己検診(セルフチェック)を指導させていただいています。
月経終了後1週間以内にできれば入浴時にボディソープのついた手でくぼみ、ひきつれ、しこりがないかセルフチェックいただくことと並行して、定期的にマンモグラフィ、乳房超音波などの画像検査をお願いしています。画像診断を含めた定期的な検診は乳がんリスクの高い年齢の方(特に30代後半~40代後半)には、最低2年に1回は受診をお勧めしています。
また、当院では妊娠期・授乳期の乳がん検診も力を入れています。
妊娠中・授乳中は乳房が乳腺の発達により乳房の大きさが増大することから、しこりを見つけることが困難で、発見時にはかなり進行していることが多いのです。普段から自分の乳房の状態を意識して変化に気づく「ブレスト・アウェアネス」という、生活習慣を持つことが重要視されています。
最近では、乳がんに限らず、妊娠前の女性とパートナーが、現在のからだの状況を把握して、将来の妊娠やからだの変化に備え、自分たちの健康に向き合う「プレコンセプション・ケア」という、医学的・行動学的・社会的な保険介入をし、多くの方が実践的にできる体制づくりが推奨され、すべての女性にとって大切なケアとして考えられています。
日本産婦人科乳腺医学会では、産婦人科医が日常診療のなかで、すべての年齢の女性が自分の乳房の状態を気にかけて、生理の周期や妊娠・授乳・更年期~閉経による乳房の変化を知り、どういう状態で受診すべきか、それぞれの年齢に応じた検診の重要性を訴えていく啓発活動に加え、発症は稀ですが妊娠・授乳期の乳がん検診の啓発活動にも取り組んでいます。
おわりに:乳がんは早期発見・治療でほぼ完治できます
私も連日、40代の好発年齢に限らず、ピルを使用している方、乳がんを発症された親族がいらっしゃる方、不妊治療中の方、更年期でホルモン補充療法中の方、すべての患者様にお声をかけさせていただいております。日頃から簡単に行える自己検診を行っていただき、お一人で抱え込まず気楽にご相談いただければ幸いです。乳がんは早期発見、治療によりほぼ完治する病気です。
的野博
的野ウィメンズクリニック
女性へのメッセージ
的野ウィメンズクリニックは、妊婦健診や婦人科検診、ピル処方はもちろん、生理痛、生理不順、更年期障害などのお悩みや、風邪をひいた、なんとなく体がだるいなどのちょっとした身体の不安も安心して気軽にご相談いただける、女性のためのホームドクターを目指しています。 思春期から更年期以降までの幅広い年齢層の女性が、身体の不調、お悩みを抱えたときに、まず訪れることができる、地域に根ざしたクリニックを目指して精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。